フィリピンはこれまでアジアで唯一の中等教育(ハイスクール)が4年間しかない国でした。
初等教育(小学校)が6年間ですから、6-4制で、その後は大学などの高等教育になります。
日本の6-3-3制 やそれに類似の制度を持つ国々に比べると、基礎教育が2年少ない状態でした。
この弊害は以下のような点です。
1.『基礎学力の低下』
国際教育到達度評価学会( IEA )の調査によると、フィリピンは参加46カ国中42位と、
近隣諸国のマレーシア、インドネシアを下回っています。
12年分の学習内容を10年で詰め込む為といわれています。
2.『就業の問題』
フィリピンの成人年齢は18才。それに対して高卒時は16才。
精神的に未熟で、雇用機会に恵まれないケースが目立ちます。
3.『海外との制度の違いがもたらす不利益』
12年間の基礎教育を条件とする海外の大学に直接進学できないことになります。
こうした弊害を解消するべく、ベニグノ・アキノ政権は、2012年に入学する生徒から新たな教育制度を導入しました。
「 K+12 」 といわれるこのシステムは5歳児(日本の幼稚園年長組)から始めて小学校6年間、中学校4年間、高校2年間 7-4-2(幼+小ー中ー高)の13年間を義務教育化しました。
この基礎教育の拡大は、理念としては支持されています。
しかし、長く続いた制度の変更で、教育現場での対応が間に合っておらず、延長された2年分の通学により、親の経済的負担も重くなっている、といった問題点もあります。